46年ぶりに復刊「肝っ玉かあさん」

本作は、平岩弓枝先生の小説です。

最初に発刊されたのは46年前で、今年新装版として復刊したのだとか。

初めて読みましたが、現在もまったく違和感が無い内容で、驚きました。

ドラマとして始まった企画ですが、同じテーマで小説を書いたのだとか。

主人公は、蕎麦屋「大正庵」のおかみ、大正五三子(たいしょう いさこ)。

明るく涙脆くて、気っぷが良い。人に悪意を持ちたがらない、気持ちの良い人柄です。

夫亡き後、スタッフと店を守り続けてきた五三子。

息子夫婦とのすれ違いや、娘の縁談など、色々な騒動が起こります。

私が特に印象に残ったのは、息子の嫁・綾と、店の従業員・葉麻(はま)のエピソードです。

綾は仕事が忙しく、娘の九子(ひさこ)とあまり一緒に過ごせません。

幼い九子は母親より、いつも世話をしてくれる葉麻になついています。一方、葉麻も自分を慕う九子が可愛く、ついつい世話をしてしまう……。

娘を取られたようで複雑な綾は、仕事を辞めるべきか悩みます。そんな彼女を諭す、部下の女性が語る実体験にハッとします。

仕事と家庭、子育ての両立に悩む女性。46年も前の小説なのに、現在も女性を取り巻く環境はあまり変わっていないことに、愕然とします。

そして五三子の息子であり、幼なじみの一に、密かに想いを寄せる葉麻。他人の家庭を壊さない為に、最後に彼女がとった行動に、胸をつかれます。

辛くても、人には身を引かねばならない時がある……そんなことを思わされました。